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PIC32MX270F256Bを用いてPICマイコンに書き込む
はじめに
PICkit3を使わずに、PIC32MX270F256Bを用いてPICマイコンにプログラムを書き込むシステムを制作しましたのでご紹介します。
PICkit3はPICマイコンにプログラムを書き込むデバイスですが、書き込み速度が遅いです。そこで、PIC32MX270F256Bを使って、自作PICライタを作成しました。PICkit3よりも、速く書き込むことが出来るようになりました。
制作のしやすさを考えて、DIPタイプのマイコンを選択したのですが、プログラムメモリが足りず、プログラムを3つに分けました。
PICkit3はPICマイコンにプログラムを書き込むデバイスですが、書き込み速度が遅いです。そこで、PIC32MX270F256Bを使って、自作PICライタを作成しました。PICkit3よりも、速く書き込むことが出来るようになりました。
制作のしやすさを考えて、DIPタイプのマイコンを選択したのですが、プログラムメモリが足りず、プログラムを3つに分けました。
用意するもの
制作に必要なものは下記の通りです。
- PICマイコン PIC32MX270F256B-50I/SP
- PICマイコン。VPP電圧は、12V、9V、5Vに対応。ロジック電圧は、5V、3.3Vに対応。
- ガーバーファイル:PCBWayなどに、基板製造依頼してください。
- C基板用アクリルパネル(アクリル板) 2mm厚(透明)を2つ
- スペーサー M3 5mm TP-5SMを4つ
- 3mmプラネジ(5mm)を4つ
- プラスチックナット+連結(6角ジョイント)スペーサー(10mm)セットを4セット
- 1x5ピン ピンソケット(メス・L型) SSW-105-02-G-S-RAを1つ
- スライドスイッチSS-14MDH2を1つ:12V、9V、5Vの切り替え
- スライドスイッチ ISH-1260-HA-Gを1つ:5V、3.3Vの切り替え
- MAX662 DIPモジュールを1つ:12Vの昇圧に用います
- 積層セラミックコンデンサー 0.22μF50V X7R 5mmを2つ:12Vの昇圧に用います
- 積層セラミックコンデンサー 4.7μF50V X7S 5mmを2つ:12Vの昇圧に用います
- MOSFET 2N7000を1つ:3.3V→12V,9V,5Vのレベル変換に用います
- 三端子レギュレーター 9V100mA HTC製 LM78L09を1つ:12Vから9Vをつくる
- 積層セラミックコンデンサー 0.1μF250V X7R 5mmピッチを1つ:12Vから9Vをつくる
- 積層セラミックコンデンサー 0.33μF50V X7R 5mmを1つ:12Vから9Vをつくる
- 低損失レギュレーター LP2950L-3.3V 3.3V100mAを1つ:5Vから3.3Vをつくる
- 積層セラミックコンデンサー 0.1μF250V X7R 5mmピッチを1つ:5Vから3.3Vをつくる
- 積層セラミックコンデンサー 10μF50V X7S 5mmを1つ:5Vから3.3Vをつくる
- I2Cバス用双方向電圧レベル変換モジュール(FXMA2102)を1つ:3.3V←→5Vのレベル変換に用います
- マイクロSDカードスロットDIP化キットを1つ
- 3mm赤色LED 625nm 70度 OSR5JA3Z74Aを1つ
- カーボン抵抗(炭素皮膜抵抗) 1/6W4.7kΩを4つ:プルアップ抵抗
- クリスタル(水晶発振子) 20MHzを1つ
- 積層セラミックコンデンサー 27pF50V C0G 5mmを2つ
- カーボン抵抗(炭素皮膜抵抗) 1/6W330Ωを4つ
- カーボン抵抗(炭素皮膜抵抗) 1/6W100Ωを1つ
- カーボン抵抗(炭素皮膜抵抗) 1/6W10kΩを2つ
- 積層セラミックコンデンサー 10μF50V X7S 5mmを1つ
- 積層セラミックコンデンサー 0.1μF250V X7R 5mmピッチを1つ
- USBtype-CコネクタDIP化キットを1つ
- ピンヘッダ (オスL型) 1×40 (40P)を1つ
回路図
PICマイコンに書き込みを行うための回路は上図のようになります。
書き込みを行うのに「VDD」、「VSS(GND)」、「ISCPDAT」、「ISCPCLK」、「MCLR」という5つのピンを用います。 MCLRピンにPICマイコンの動作電圧より高い電圧(12V、9V、5V)の信号を与える必要があります。 また、ISCPDATピン、ISCPCLKピンとPICマイコンPIC32MX270F256Bの電圧が異なるため、レベル変換する必要があります。
書き込みを行うのに「VDD」、「VSS(GND)」、「ISCPDAT」、「ISCPCLK」、「MCLR」という5つのピンを用います。 MCLRピンにPICマイコンの動作電圧より高い電圧(12V、9V、5V)の信号を与える必要があります。 また、ISCPDATピン、ISCPCLKピンとPICマイコンPIC32MX270F256Bの電圧が異なるため、レベル変換する必要があります。
1)USBから出力される5Vを、12Vに昇圧する必要があります。そのために、MAX662 DIPモジュールを利用します。
2)12Vから9Vをつくるには、三端子レギュレーター LM78L09を利用します。
3)5Vから3.3Vをつくるには、低損失レギュレーター LP2950L-3.3Vを利用します。
4)3.3V→12V,9V,5Vのレベル変換するのには、MOSFET 2N7000を利用します。
5)3.3V←→5Vのレベル変換するのには、I2Cバス用レベル変換モジュール FXMA2102を利用します。
レベル変換モジュールに何を選択するか、またプルアップ抵抗の抵抗値を何にするかによって、高周波数信号の波形がなまってきます。 色々なPICマイコンへの書き込みで試しましたが、FXMA2102でもいけます。プルアップ抵抗の抵抗値はPICマイコンPIC32MX270F256Bでは4.7kΩがいいようです。
ソフトウェア
pickleという、Raspi(Linux)でPICマイコンにプログラムの書き込みを行うソフトウェアがあります。
pickle
C言語で書かれていますので、これをPICマイコンPIC32MX270F256Bに移植を試みます。本体は、ほぼ、そのまま使用し、INPUT側のインターフェースの部分とOUTPUT側のインターフェースの部分を書き換えます。 MPLAB X IDEで開発しました。プログラムコードを公開します。PIC32MX270F256Bのメモリ不足のため、3つに分けました。
(2024.11.13更新)
プログラムコード 8bit用(p12,p14,n14,p16,n16)
HEXファイル 8bit用(p12,p14,n14,p16,n16)
プログラムコード 16bit用(p24)
HEXファイル 16bit用(p24)
プログラムコード 32bit用(p32)
HEXファイル 32bit用(p32)
pickle
C言語で書かれていますので、これをPICマイコンPIC32MX270F256Bに移植を試みます。本体は、ほぼ、そのまま使用し、INPUT側のインターフェースの部分とOUTPUT側のインターフェースの部分を書き換えます。 MPLAB X IDEで開発しました。プログラムコードを公開します。PIC32MX270F256Bのメモリ不足のため、3つに分けました。
もう一つ書き換えた箇所があります。それは、ヒープメモリです。元のプログラムは、Linux環境で豊富にヒープメモリが使えますが、マイコンの場合、限られています。 そこで、MicroSDの記憶領域を利用しました。
(2024.11.13更新)
プログラムコード 8bit用(p12,p14,n14,p16,n16)
HEXファイル 8bit用(p12,p14,n14,p16,n16)
プログラムコード 16bit用(p24)
HEXファイル 16bit用(p24)
プログラムコード 32bit用(p32)
HEXファイル 32bit用(p32)
コンパイラの設定
コンパイラ: MPLAB XC32 Compiler (v4.30)書き込み
下記のように、PCとUSB接続(仮想COM、UART)して、PCより操作して、プログラム(hexファイル)をPICマイコンに書き込みます。
Windows用書き込みソフト(2024.11.09更新)
1)自作PICライタとPICマイコンを接続します。PIC書き込みアダプタを利用すると便利です。
2)HEXファイルをmicroSDに書き込み、それを自作PICライタに挿入します。
3)PCとUSB接続(仮想COM、UART)して、PCより操作して、プログラム(hexファイル)をPICマイコンに書き込みます。 シリアル通信で行単位送信モードが使えるシリアルモニタソフトを使って操作できますが、自作の書き込みソフトも作成しました。
Windows用書き込みソフト(2024.11.09更新)
終わりに
以上です。この他にも、M5Stackを利用して書き込むシステムを制作したり、Raspberry Piを利用して書き込むシステムを制作したりしてます。