XIAO RP2040(or ESP32S3)を用いてPICマイコンに書き込む
はじめに
PICkit3はPICマイコンにプログラムを書き込むデバイスですが、書き込み速度が遅いです。そこで、XIAO RP2040(or ESP32S3)を使って、自作PICライタを作成しました。PICkit3よりも、速くPICマイコンにプログラムを書き込むことが出来るようになりました。
用意するもの
- Seeed XIAO RP2040
- Seeed XIAO ESP32S3
- PICマイコン。VPP電圧は、12V、9V、5Vに対応。ロジック電圧は、5V、3.3Vに対応。
- ガーバーファイル:PCBWayなどに、基板製造依頼してください。
- C基板用アクリルパネル(アクリル板) 2mm厚(透明)を2つ
- スペーサー M3 5mm TP-5SMを4つ
- 3mmプラネジ(5mm)を4つ
- プラスチックナット+連結(6角ジョイント)スペーサー(10mm)セットを4セット
- 1x5ピン ピンソケット(メス・L型) SSW-105-02-G-S-RAを1つ
- スライドスイッチSS-14MDH2を1つ:12V、9V、5Vの切り替え
- スライドスイッチ ISH-1260-HA-Gを1つ:5V、3.3Vの切り替え
- MAX662 DIPモジュールを1つ:12Vの昇圧に用います
- 積層セラミックコンデンサー 0.22μF50V X7R 5mmを2つ:12Vの昇圧に用います
- 積層セラミックコンデンサー 4.7μF50V X7S 5mmを2つ:12Vの昇圧に用います
- MOSFET 2N7000を1つ:3.3V→12V,9V,5Vのレベル変換に用います
- 三端子レギュレーター 9V100mA HTC製 LM78L09を1つ:12Vから9Vをつくる
- 積層セラミックコンデンサー 0.1μF250V X7R 5mmピッチを1つ:12Vから9Vをつくる
- 積層セラミックコンデンサー 0.33μF50V X7R 5mmを1つ:12Vから9Vをつくる
- I2Cバス用双方向電圧レベル変換モジュール(FXMA2102)を1つ:3.3V←→5Vのレベル変換に用います
- マイクロSDカードスロットDIP化キットを1つ
- 3mm赤色LED 625nm 70度 OSR5JA3Z74Aを1つ
- カーボン抵抗(炭素皮膜抵抗) 1/6W10kΩを4つ:プルアップ抵抗
- カーボン抵抗(炭素皮膜抵抗) 1/6W4.7kΩを2つ:プルアップ抵抗
- カーボン抵抗(炭素皮膜抵抗) 1/4W330Ωを3つ
- カーボン抵抗(炭素皮膜抵抗) 1/6W330Ωを2つ
▲ 開発当初はユニバーサル基板を使ったが、 写真の基板はPCBWayに発注した。 |
▼ 表面実装することで小型化した。PCBWayに発注した。 |
回路図
書き込みを行うのに「VDD」、「VSS(GND)」、「ISCPDAT」、「ISCPCLK」、「MCLR」という5つのピンを用います。 MCLRピンにPICマイコンの動作電圧より高い電圧(12V、9V、5V)の信号を与える必要があります。 また、ISCPDATピン、ISCPCLKピンと XIAO RP2040(or ESP32S3)の電圧が異なるため、レベル変換する必要があります。
1)XIAO RP2040(or ESP32S3)から出力される5Vを、12Vに昇圧する必要があります。そのために、MAX662 DIPモジュールを利用します。
2)12Vから9Vをつくるには、三端子レギュレーター LM78L09を利用します。
3)3.3V→12V,9V,5Vのレベル変換するのには、MOSFET 2N7000を利用します。
4)3.3V←→5Vのレベル変換するのには、I2Cバス用レベル変換モジュール FXMA2102を利用します。
レベル変換モジュールに何を選択するか、またプルアップ抵抗の抵抗値を何にするかによって、高周波数信号の波形がなまってきます。 色々なPICマイコンへの書き込みで試しましたが、FXMA2102でもいけます。プルアップ抵抗の抵抗値は XIAO RP2040(or ESP32S3)では10kΩがいいようです。
ソフトウェア
pickle
C言語で書かれていますので、これを XIAO RP2040(or ESP32S3)に移植を試みます。本体は、ほぼ、そのまま使用し、INPUT側のインターフェースの部分とOUTPUT側のインターフェースの部分を書き換えます。 Arduino IDEで開発しました。プログラムコードを公開します。
もう一つ書き換えた箇所があります。それは、ヒープメモリです。元のプログラムは、Linux環境で豊富にヒープメモリが使えますが、マイコンの場合、限られています。 そこで、Seeed XIAO RP2040 に関しては、MicroSDの記憶領域を利用し、Seeed XIAO ESP32S3 に関しては、8MBのPSRAMを利用しました。プログラムコードは、どちらも共通で使えるように作ってあります。
プログラムコード(2024.11.15更新)
ボードマネージャー:Raspberry Pi Pico/RP2040/RP2350 by Earle F. Philhower,III Ver 4.1.1
対応ボード: Seeed XIAO RP2040
<Seeed XIAO ESP32S3 の場合>
ボードマネージャー:esp32 by Espressif Systems Ver 3.0.5
対応ボード :XIAO_ESP32S3
※オプション :PSRAM -> OPI PSRAM
Upload Mode -> USB-OTG CDC (TinyUSB) (Hardware CDCでは、不具合発生)
USB Mode -> USB-OTG(TinyUSB) (Hardware CDCでは、不具合発生)
書き込み
1)自作PICライタとPICマイコンを接続します。PIC書き込みアダプタを利用すると便利です。
2)プログラム(hexファイル)をmicroSDに書き込み、それを自作PICライタに挿入します。
3)PCとUSB接続(仮想COM、UART)して、PCより操作して、プログラム(hexファイル)をPICマイコンに書き込みます。 Tera Termなどを使って操作できますが、自作の書き込みソフトも作成しました。
Windows用書き込みソフト(2024.11.09更新)